小山紀彦、勇者です!

小山紀彦です、勇者始めました。

小山紀彦、勇者です!#1

 #1「コンビニを出たらなんかいた。」

俺の名前は小山紀彦、東京都在住。

サラリーマンと勇者をやっている。

f:id:koyamama9:20210809000929p:plain

ちょっと何を言っているのか

分からないかもしれないが

これは事実なので致し方が無い。

他に言い様が無いのだ。

 

あの日は朝から雨が降っていた。

 

俺はいつもの様に職場をあとにした。

社会人になって早数年。

満員電車に揺られるのも既に日常だ。

電車は 遅延する事もなく

当たり前の様に最寄り駅に到着した。

f:id:koyamama9:20210809001312p:plain

電車を降りた俺は改札から出ると

からしとしとと降る雨に

少し煩わしさを覚えながら

傘をさして自宅までの岐路に着いた。

 

駅から自宅までは

普通に歩いておよそ15分程の距離だ。

残業で夜も更け

小腹も空いていた俺は

帰り道の途中で弁当を買うため

コンビニに寄る事にした。

f:id:koyamama9:20210809001637p:plain

家から5分程の場所にあるこのコンビニは

俺の行きつけのコンビニだ。

家のすぐ近所にコンビニがある生活は

今日みたいに残業で遅くなった日でも

楽に晩飯にありつけるので

とても助かっている、コンビニ様様だ。

 

入口で傘をたたみコンビニに入った俺は

弁当コーナーを物色する。

 

「今日はこれにするか。」 

 

そう言って手にした

ハンバーグをメインとした弁当を

レジで精算する。

f:id:koyamama9:20210809002248p:plain

店員に温めとレジ袋を断り

鞄から取り出したエコバッグに

清算を済ませた弁当をしまう。

 

昨今はレジ袋も有料化されてしまい

小銭少額とは言え

回数を重ねればそれなりの額になるので

俺はいつでもエコバッグを

鞄に忍ばせているのだ。

f:id:koyamama9:20210809001843p:plain

そういえば最近コンビニの前に

レンタル自転車の

乗り場が設置されたな。

f:id:koyamama9:20210809002436p:plain

どうやって借りるんだあれ。

 

そんな事を思いつつ

最近のコンビニの進化の波に

いまいち乗り切れていない俺は

コンビニから退店するため

出入口の自動ドアの前に立った。

 

「?」

 

ドアが開かない。

ドアの前で身体を揺らしてみる。

しかしドアは開かない。

腕を軽く振ってみたが駄目だった。

f:id:koyamama9:20210809002654p:plain

このドアはシンプルな自動ドアだ。

押しボタン式では無いし

ましてやつい今しがた

俺が入ってきたばかりのドアだ。

 

なんで開かないんだ?

急に故障でもしたか?

とりあえず店員に言ってみよう。

 

f:id:koyamama9:20210809010233p:plain

 

そう思い俺はドアに背を向けて

くるりとレジの方向に振り返った。

 

レジにいる店員の元に向かい

一歩目を踏み出した瞬間

俺の背後で自動ドアが開く音がした。

 

続けざま。

扉が開くのを待っていたかの様に

コンビニ特有の

ドア開閉時に流れるメロディも

店内に鳴り響いた。

 

 f:id:koyamama9:20210809004329p:plain

なんだ、開くじゃないか。

なんだったんだ一体。

 

そう思いながらも

開いた自動ドアから

店の外に出た瞬間。

正確にはドアをくぐり抜けた瞬間だ。

f:id:koyamama9:20210809004613p:plain

言葉にはし難いが

何か違和感の様な物を肌が感じた。

 

しかしその違和感の様な物の

正体が分からない俺は

きっと勘違いか何かだろうと思い

店先に設置された傘立てから

自分の傘を取り出した。

f:id:koyamama9:20210809010244p:plain
少し弱くなった雨の中

コンビニを後にして

歩き始めた俺は

手にしたエコバッグを濡らさない様

身体に近づけながら顔を上げた。

f:id:koyamama9:20210809004827p:plain
すると俺の視線の先には.....

 

「!?」

 

身体中に目をまとった

二足歩行の水色の生き物が

じっとこちらを見つめていた。

f:id:koyamama9:20210809004946p:plain

 

こんな時間に傘もささずに

なんなんだあいつは。

着ぐるみか?

 

 

NEXT > 小山紀彦、勇者です!#2