小山紀彦、勇者です!#12
#12「二度あることは三度ある」
俺の名前は小山紀彦。
サラリーマンの傍らに勇者をやっている。
― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
~前回までのあらすじ~
仕事帰りに立ち寄ったコンビニの前で突然アイツと遭遇した俺。
なんやかんやとあって、俺はコンビニでギルドとやらに登録する事になる。
ギルド登録に登録許可証、それに魔物退治。いよいよもって俺も勇者だな。
俺の口から洩れたそんな心の声を耳にした店員がふいに顔を上げて
俺に「違いますよ」と、声を掛けて来た。
え!?違うの!?
― ― ― ― ―
疲労困憊のままやってきた会社。
出社早々上司には嫌味を言われ、同僚には弄られつつ心配もされ、
前日の魔物騒動は嘘のような日常。
そう思っていたところにオフィスに鳴り響く聞きなれない避難警報。
突如として現れたという魔物の正体とは?!
― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
『おいおい、一体何の冗談なんだ…モンスターだって?』
緊急を知らせる放送が鳴り響く中、オフィス中の人間は凡そ同じリアクションを取った。
そりゃそうだろう、現実的に考えてこの現代の平和な日常に、
強盗や殺人鬼が現れても決してモンスターなどは現れないだろう。
…俺も昨日、アイツに出くわさなければ同じ反応だったに違いない。
「…いや、一応放送の通り対応した方がいい」
「何しろ俺は実際昨日出くわしたからな」
俺の真面目な顔を見て同僚は一瞬呆気に取られつつ、
『おいおい、お前疲れすぎて頭がどうにかなっちまったか?』
『この世にモンスターなんか出てきてたまるか、ゲームのやりすぎだ』
呆れ顔で俺に言う。
こいつの言う通りだ。言う通りではあるのだが。
「そうだったら、まだ救いがあったかもな」
「俺は昨日この手でモンスターを倒したばかりなんだ。」
まだ俺の記憶には鮮明にアイツの姿と、体にはアイツとの戦いの経験が残っている。
あれが夢の出来事だとは到底思えない。
『…仮にモンスターがやって来るとして、実際どこに逃げりゃいいんだ?』
言われて思う。
確かに俺が戦った奴は人より少し大きい…2メートルほど?の大きさだった。
とてつもない大型モンスターだったら…
目につかないほどの小型か…。
そもそも、その姿が見えないかもしれない。
考え着いた可能性を考慮してみるも、具体的な対策は思いつかない。
「多分、外に出るのは得策じゃない…。」
「丈夫な身を守れる遮蔽物がある所…、入り組んだ構造のフロアが多い方がいい」
『つまり…このままここにいろってか?』
このオフィスフロアは、モンスターを迎え撃つには確かに理想的ではある、と思った。
昨日のアイツもかなり力が強く、コンビニの壁もあっさり破壊していたし、
隠れる柱や部屋、盾になりそうな机が多くある。
『みんな、慌てるな!放送の通り避難しよう!避難訓練のマニュアル通りに行動し、指定の避難場所に集まるんだ!』
そんなやり取りをしていると、にっくき上司が避難誘導を呼びかけ始めた。
マニュアル通りの対応…それに釣られるように、
何時もの避難訓練の調子で気楽に避難経路に向かっていく同僚達。
『おい、どうする?みんな外に出ちまうぞ』
「逆らうのも面倒だ、様子を見ながら着いて行こう」
朝のやり取りもあって、あの上司と面倒なやり取りをする事に神経を向けたくない…
何時襲われるかわからないモンスターへの対応に全力を注ぎたいのだ。
避難する社員の後ろにつき、慎重に避難を始めるのだった。
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小山紀彦、勇者です!#12
#12「二度あることは三度ある」
俺の名前は小山紀彦。
サラリーマンの傍らに勇者をやっている。
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~前回までのあらすじ~
仕事帰りに立ち寄ったコンビニの前で突然アイツと遭遇した俺。
なんやかんやとあって、俺はコンビニでギルドとやらに登録する事になる。
ギルド登録に登録許可証、それに魔物退治。いよいよもって俺も勇者だな。
俺の口から洩れたそんな心の声を耳にした店員がふいに顔を上げて
俺に「違いますよ」と、声を掛けて来た。
え!?違うの!?
― ― ― ― ―
疲労困憊のままやってきた会社。
出社早々上司には嫌味を言われ、同僚には弄られつつ心配もされ、
前日の魔物騒動は嘘のような日常。
そう思っていたところにオフィスに鳴り響く聞きなれない避難警報。
突如として現れたという魔物の正体とは?!
― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
『おいおい、一体何の冗談なんだ…モンスターだって?』
緊急を知らせる放送が鳴り響く中、オフィス中の人間は凡そ同じリアクションを取った。
そりゃそうだろう、現実的に考えてこの現代の平和な日常に、
強盗や殺人鬼が現れても決してモンスターなどは現れないだろう。
…俺も昨日、アイツに出くわさなければ同じ反応だったに違いない。
「…いや、一応放送の通り対応した方がいい」
「何しろ俺は実際昨日出くわしたからな」
俺の真面目な顔を見て同僚は一瞬呆気に取られつつ、
『おいおい、お前疲れすぎて頭がどうにかなっちまったか?』
『この世にモンスターなんか出てきてたまるか、ゲームのやりすぎだ』
呆れ顔で俺に言う。
こいつの言う通りだ。言う通りではあるのだが。
「そうだったら、まだ救いがあったかもな」
「俺は昨日この手でモンスターを倒したばかりなんだ。」
まだ俺の記憶には鮮明にアイツの姿と、体にはアイツとの戦いの経験が残っている。
あれが夢の出来事だとは到底思えない。
『…仮にモンスターがやって来るとして、実際どこに逃げりゃいいんだ?』
言われて思う。確かに俺が戦った奴は人より少し大きい…2メートルほど?の大きさだった。
とてつもない大型モンスターだったら…目につかないほどの小型か…。
そもそも、その姿が見えないかもしれない。
考え着いた可能性を考慮してみるも、具体的な対策は思いつかない。
「多分、外に出るのは得策じゃない…。」
「丈夫な身を守れる遮蔽物がある所…、入り組んだ構造のフロアが多い方がいい」
『つまり…このままここにいろってか?』
このオフィスフロアは、モンスターを迎え撃つには確かに理想的ではある、と思った。
昨日のアイツもかなり力が強く、コンビニの壁もあっさり破壊していたし、
隠れる柱や部屋、盾になりそうな机が多くある。
『みんな、慌てるな!放送の通り避難しよう!避難訓練のマニュアル通りに行動し、指定の避難場所に集まるんだ!』
そんなやり取りをしていると、にっくき上司が避難誘導を呼びかけ始めた。
マニュアル通りの対応…それに釣られるように、何時もの避難訓練の調子で気楽に避難経路に向かっていく同僚。
『おい、どうする?みんな外に出ちまうぞ』
「逆らうのも面倒だ、様子を見ながら着いて行こう」
朝のやり取りもあって、あの上司と面倒なやり取りをする事に神経を向けたくない…
何時襲われるかわからないモンスターへの対応に全力を注ぎたいのだ。
避難する社員の後ろにつき、慎重に避難を始めるのだった。
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小山紀彦、勇者です!#11
俺の名前は小山紀彦。
サラリーマンの傍らに勇者をやっている。
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~前回までのあらすじ~
仕事帰りに立ち寄ったコンビニの前で突然アイツと遭遇した俺。
なんやかんやとあって、俺はコンビニでギルドとやらに登録する事になる。
ギルド登録に登録許可証、それに魔物退治。いよいよもって俺も勇者だな。
俺の口から洩れたそんな心の声を耳にした店員がふいに顔を上げて
俺に「違いますよ」と、声を掛けて来た。
え!?違うの!?
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仕事帰りの魔物との戦いの末、疲れ果てた俺は家に帰ってすぐ休もうとするも、
全く寝付けず一睡も出来ないまま朝を迎えてしまう。
最高のバットコンデション、会社に行く気力ももはやなく。
今日は休めないかと連絡するも、無情にも休む事は出来なかった。
既に働きたくない体を引きずり、俺は会社へしぶしぶ向かう。
― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
とりあえず会社へ行く準備をして家を出てみるが、数分でばて始めた…
「帰りてぇ~…」
思わず口をついて呟くも、後の事を考えると休む訳にもサボる訳にも行かず。
こうして人並みのサラリーマンの悩みに頭を悩ませているとますます昨日の出来事の現実味が薄れる。
何とかコンビニに寄って朝飯代わりのゼリー飲料と栄養ドリンクを補給して、最寄り駅まで向かう。
「やっと着いたか…」
いつもより何倍も時間がかかったような感覚に襲われながら改札をくぐり、ホームへ向かう。
何時もの様に満員電車に苦しみながら、会社最寄り駅に辿り着く。
俺の働く会社は、ごくごく普通の一般的な会社で、正に誰しもが描く一般サラリーマンが俺だ。
上司はうるさく、同僚は煩わしい…。別に仲が悪いわけではないが、良好な関係でもない。
そんな環境が俺の働く職場だ。
「すごく憂鬱だ…」
そんな事もあって、当然の如く俺の気分は最悪だ。体調を含めとても仕事をする気分じゃない。
と言ってもここまで来たら引き返す事も出来ず、何時もの様に会社内のデスクへ向かった。
『やっぱり来れたじゃないか、大体の事は気の持ちようで何とかなるもんだ』
早速挨拶代わりに嫌味ったらしく上司に吐き捨てられた。
猛烈に鞄にしまってあるカラーボールをぶつけてやりたい気分になった。
昂る気持ちを抑えながら愛想笑いを浮かべて自分の席へ。
溜息をつきながら暫しぐったりしていると、隣へ同僚がやって来る。
『おはよう、今日は早いな、小山。早速何か言われていたけど何かあったか?』
「おはよう、見てたのか。お前は気合が足りないと、お叱りを受けただけだ」
小言を言われていたのを見られていたらしい。早速朝から弄ってやろうという気満々の様子だ。
『ていうか顔色わりぃな、大丈夫か?』
「ちょっと眠れてなくてな…まあ多分大丈夫だ…あ、そうだ、聞いてくれよ、実は昨日…」
同僚のささやかな気遣いに、少し鬱憤も晴れた気がした。
そうして気分も落ち着いた所で、ふと昨日の不思議な体験の話をしようとした、その時である。
『緊急事態です。当社1階入り口に、モンスター出現。社員の方々は速やかに、避難の準備を行って下さい。』
会社のフロアに、今まで聞いた事も無いアナウンスが響き渡った。
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小山紀彦、勇者です!#10
俺の名前は小山紀彦。
サラリーマンの傍らに勇者をやっている。
― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
~前回までのあらすじ~
仕事帰りに立ち寄ったコンビニの前で突然アイツと遭遇した俺。
なんやかんやとあって、俺はコンビニでギルドとやらに登録する事になる。
ギルド登録に登録許可証、それに魔物退治。いよいよもって俺も勇者だな。
俺の口から洩れたそんな心の声を耳にした店員がふいに顔を上げて
俺に「違いますよ」と、声を掛けて来た。
え!?違うの!?
― ― ― ― ―
仕事帰りの魔物との戦いでへとへとになった俺。
何をする気力もなく、俺は倒れこむように布団にもぐった。
しかし無情にもそんな時に限って、眠気は襲ってこない。
あらゆる手を尽くし、俺は眠りの世界に旅立とうとするも…
無情にも次の朝がやってくる…
― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
「全く眠れなかった…」
まだ平日だぞ…と思いながら、サラリーマンのサガか、重い体を引きずり出社の準備を始める。
まあ平日の前日に寝不足になる…事自体は珍しくはないが、流石に魔物退治明けではそうはいかない。
「今日の所は何とか休めないだろうか…」
そう思い、会社の方へ連絡をしてみる。
「今日は休みたい?ダメに決まっているだろう!!さっさと支度して出社しろ!!」
お決まりのような無情な返答。部下の体調不良を無視して出社を強制するとは。
間違いなくブラックな環境に身を置いているな。
電話を切り、ため息をつきながらそう思った。
「こいつはどうしたものかな」
出社の準備をしながら、昨日購入したカラーボールが目に入った。
それが昨日の一連の出来事が現実であったと思わせる。
もはや必要ないだろう…と思いつつ、昨日遭遇したのは2匹…。
二度と出会う事は無い…と断言出来る保証はない。身を守るためには必要だろう。
「とりあえずカバンに入れて行こう」
どこで手に入るかもわからないし、そもそも捨てていいものなのかもわからない。
邪魔にならない分だけカバンに詰めて、重い足を引きずりながら出社した。
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小山紀彦、勇者です!#9
#9「眠れないときにすること」
俺の名前は小山紀彦。
サラリーマンの傍らに勇者をやっている。
― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
~前回までのあらすじ~
仕事帰りに立ち寄ったコンビニの前で突然アイツと遭遇した俺。
なんやかんやとあって、俺はコンビニでギルドとやらに登録する事になる。
ギルド登録に登録許可証、それに魔物退治。いよいよもって俺も勇者だな。
俺の口から洩れたそんな心の声を耳にした店員がふいに顔を上げて
俺に「違いますよ」と、声を掛けて来た。
え!?違うの!?
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絶体絶命のピンチから起死回生の魔物の好物ハンバーガー…の姿を模したおやつを餌に、
魔物を撃退することに成功する。
報酬として得たポイントで、コンビニで道具を買いそろえてみたものの…
これからどうすればいいんだ?
― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
会社帰りで、コンビニに立ち寄り、魔物と戦った帰り道。
俺は疲れ果ててとぼとぼ歩きながらため息をついた。
「腹が減った…」
結局ハンバーグ弁当は買えずに手ぶらで帰ってきてしまった。
弁当にこだわらずにほかのものでも買えばよかったと後悔しつつ、
足取りが重いまま家に帰った。
もしかしたらまた魔物と鉢合わせるんじゃないかと内心考えながらだったが、
特にそんなイベントが起きることもなかった。
部屋に入り、ソファに座る。
今日会った事をゆっくり思い出しながら寛ぐ。
こうしてゆっくりしていると、さっきまでの騒ぎは嘘のようだ。
あれはもしかして夢だったのでは…とつい思ってしまうが、
コンビニの袋に入ったカラーボールが、あれが現実っだったことを思わせる。
そんなことを思いつつ腹が減っているのを思い出したが…
「もう寝るか」
もはや何をする気力もなかった。
勇者というのは魔物を倒しながら冒険するものだが、俺にはとてもそんな真似は出来そうにないな。
適当に着替えて布団に入る…が。
「ぜんっぜん眠くないな…」
先程の興奮が残っているのか、全くもって眠気がない…
「どうしようか…」
考えてみれば、あんな非日常的なあった後ですぐに寝られる方がどうかしている。
俺は横になりながら携帯で安眠する方法を調べ始めた。
癒し効果のある音楽を聴いてみたり…
カフェインを含まない温かい飲み物を飲んでみたり…
腹式呼吸で自律神経を整えてみたり…
筋弛緩法で体と心の緊張を緩めてみたり…
ツボ押しで眠気を誘うツボを押してみたり…
アロマを焚く…は無かったので無理だった。
そして…
あらゆる手段を尽くすうちに…空は明るくなっていた。
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小山紀彦、勇者です!#8
俺の名前は小山紀彦。
サラリーマンの傍らに勇者をやっている。
~前回までのあらすじ~
俺は仕事帰りに立ち寄ったコンビニの前で全身に目を纏ったアイツと遭遇した。
なんやかんやとあって、俺はコンビニでギルドとやらに登録する事になる。
ギルド登録に登録許可証、それに魔物退治。いよいよもって俺も勇者だな。
俺の口から洩れたそんな心の声を耳にした店員がふいに顔を上げて
俺に「違いますよ」と、声を掛けて来た。
え!?違うの!?
俺は魔物に立ち向かうが絶体絶命のピンチに。
そんな俺のピンチを救ったのはハンバーガー…の姿を模したおやつ。
果たして魔物との戦いの行方は?
魔物はすっかり騙されて、知育菓子のハンバーガーに引き寄せられていた。
ハンバーグ弁当と同じように、包装ごとバリバリ貪っている。
流石は魔物というわけか…
やるなら今の内と魔物に詰め寄り、カラーボールを投げた。
投げたボールは真っ直ぐ魔物に飛んでいく。
命中。カラーボールがヒットすると、最初の魔物の時の様に効果が表れた。
魔物の体はどんどん朽ちていく。苦しげな声を聴くと少々気の毒な気もしたが、
正当防衛だと思うようにした。
「お客様、やりましたね。これでまた1000ポイントですよ。」
「ようやく一息つけるのか…」
思えば仕事帰りにとんでもない目に遭ったものだ。
安心感からかどっと疲労感に襲われた。
「早速ポイントを使われますか?」
店員は業務的にまたポイント利用の催促をしてくる。
まぁ、確かにさっきは緊急事態でゆっくりラインナップはわからずじまいだ。
早速店員は商品一覧リストを見せてくる。
商品リストはどこかで見たことのあるものと、とってつけたようなカラーボール。
いかにもな初期武器屋って感じだ。
とりあえず使い勝手が良さそうなので、もう一度カラーボールを5個購入して、
ようやく帰路に着いたのだった。
カラーボール 所持数 8個
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小山紀彦、勇者です!#7
俺の名前は小山紀彦。
サラリーマンの傍らに勇者をやっている。
~前回までのあらすじ~
俺は仕事帰りに立ち寄ったコンビニの前で
全身に目を纏ったアイツと遭遇した。
なんやかんやとあって、俺はコンビニでギルドとやらに登録する事になる。
ギルド登録に登録許可証、それに魔物退治。
いよいよもって俺も勇者だな。
俺の口から洩れたそんな心の声を耳にした店員がふいに顔を上げて
俺に「違いますよ」と、声を掛けて来た。
え!?違うの!?
そして現れる新たな脅威。
それに立ち向かうべく俺は武器(カラーボール)を取る!
「ウオオオオオオオオオオ!」
激しく怒り狂っているのが見て取れるアイツににじり寄る…
そして、手にした魔物退治用のカラーボールを…
勢いをつけて投げた!が…
どうやら勢いがつきすぎたようだ。カラーボールは魔物を通り過ぎ、明後日の方へ。
そしてそれは魔物に俺の存在を気付かせる事になる!
ぎょろりと、あいつの無数にある眼が俺を睨む。明らかに敵意がある眼だ…
「ウオオオオオオオオオオ!」
「しまった!」
焦る間もなく、魔物の反撃とばかりの体当たりに突き飛ばされる俺。
全身に響く衝撃に、何が起きたかもわからない。
打ち倒されてもがくそんな俺の横から、あのコンビニ店員が声をかけてきた。
「あの魔物は、ハンバーグが好物なんですよ。それを使って注意をそらしましょう。」
そんな馬鹿な…と思ったが、確かに俺は最初襲われた時ハンバーグ弁当を食われた。
あれが偶然じゃなく狙って奪いに来たのだとしたら…!
俺は何とか立ち上がりさっきのハンバーグ弁当を取りに行こうとするが…
皮肉にもハンバーグ弁当は売り切れだった。
「何か代わりになるものはないか!」
慌てて店内を駆け巡る俺。そんな俺を追い掛け回す魔物。混乱状態だ。
「お客様、代わりにこちらの商品はいかがですか?」
そんな店員の声に振り替えるとその手に持っていたのは意外なものだった。
「ポッピンクッキン ハンバーガーです。」
「なんだそれ!?まあいいや、それをくれ!」
「270円になります。」
急いで店員に駆け寄り、ハンバーグ?を受け取る。
「そら!お前が大好きなおやつだぞ!」
それを魔物に向かって投げる!
思った以上の効果で、完全にアイツは背を向けて大好きなおやつに向かっていった!
「よし、これなら…!」
このチャンスは逃せない…俺は好物を箱ごと貪る魔物に近づき、カラーボールを振りかぶる!
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