小山紀彦、勇者です!

小山紀彦です、勇者始めました。

小山紀彦、勇者です!#11

#11「わたしの仕事場」

 

 

 

俺の名前は小山紀彦。

サラリーマンの傍らに勇者をやっている。

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~前回までのあらすじ~

 


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仕事帰りに立ち寄ったコンビニの前で突然アイツと遭遇した俺。

なんやかんやとあって、俺はコンビニでギルドとやらに登録する事になる。

ギルド登録に登録許可証、それに魔物退治。いよいよもって俺も勇者だな。

俺の口から洩れたそんな心の声を耳にした店員がふいに顔を上げて

俺に「違いますよ」と、声を掛けて来た。

え!?違うの!?

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仕事帰りの魔物との戦いの末、疲れ果てた俺は家に帰ってすぐ休もうとするも、

全く寝付けず一睡も出来ないまま朝を迎えてしまう。

最高のバットコンデション、会社に行く気力ももはやなく。

今日は休めないかと連絡するも、無情にも休む事は出来なかった。

既に働きたくない体を引きずり、俺は会社へしぶしぶ向かう。

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とりあえず会社へ行く準備をして家を出てみるが、数分でばて始めた…

 

「帰りてぇ~…」

 

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思わず口をついて呟くも、後の事を考えると休む訳にもサボる訳にも行かず。

こうして人並みのサラリーマンの悩みに頭を悩ませているとますます昨日の出来事の現実味が薄れる。

何とかコンビニに寄って朝飯代わりのゼリー飲料と栄養ドリンクを補給して、最寄り駅まで向かう。

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「やっと着いたか…」

 


いつもより何倍も時間がかかったような感覚に襲われながら改札をくぐり、ホームへ向かう。

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何時もの様に満員電車に苦しみながら、会社最寄り駅に辿り着く。

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俺の働く会社は、ごくごく普通の一般的な会社で、正に誰しもが描く一般サラリーマンが俺だ。

上司はうるさく、同僚は煩わしい…。別に仲が悪いわけではないが、良好な関係でもない。

そんな環境が俺の働く職場だ。

 


「すごく憂鬱だ…」

 


そんな事もあって、当然の如く俺の気分は最悪だ。体調を含めとても仕事をする気分じゃない。

と言ってもここまで来たら引き返す事も出来ず、何時もの様に会社内のデスクへ向かった。

 


『やっぱり来れたじゃないか、大体の事は気の持ちようで何とかなるもんだ』

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早速挨拶代わりに嫌味ったらしく上司に吐き捨てられた。

猛烈に鞄にしまってあるカラーボールをぶつけてやりたい気分になった。

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昂る気持ちを抑えながら愛想笑いを浮かべて自分の席へ。

溜息をつきながら暫しぐったりしていると、隣へ同僚がやって来る。

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『おはよう、今日は早いな、小山。早速何か言われていたけど何かあったか?』

「おはよう、見てたのか。お前は気合が足りないと、お叱りを受けただけだ」

 

 

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小言を言われていたのを見られていたらしい。早速朝から弄ってやろうという気満々の様子だ。

 

『ていうか顔色わりぃな、大丈夫か?』

「ちょっと眠れてなくてな…まあ多分大丈夫だ…あ、そうだ、聞いてくれよ、実は昨日…」

 

同僚のささやかな気遣いに、少し鬱憤も晴れた気がした。

そうして気分も落ち着いた所で、ふと昨日の不思議な体験の話をしようとした、その時である。

 

『緊急事態です。当社1階入り口に、モンスター出現。社員の方々は速やかに、避難の準備を行って下さい。』

 

会社のフロアに、今まで聞いた事も無いアナウンスが響き渡った。

 

 

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